棟方志功の魅力に迫る! 経歴や作品の特徴、代表作を徹底解説MUNAKATA SHIKOU

棟方志功(むなかたしこう)は、20世紀を代表する世界的な版画の巨匠だと称される人物です。海外で先に評価され、「世界のムナカタ」と呼ばれていることはあまりに有名でしょう。棟方志功を知らないと言う人も、温かみのある優しい表情の仏様や菩薩像の版画作品を、一度は目にしたことがあるはずです。そこで今回は、棟方志功の経歴や作品の特徴、代表作などを紐解きながら、棟方志功の魅力に迫っていきましょう。

1. 棟方志功とは?経歴を紹介

まずは、棟方志功の経歴について紹介していきましょう。

1-1. 絵が得意だった幼少期

棟方志功は、1903年9月5日青森県の代々鍛冶屋を営む家庭に生まれました。おばあちゃん子だった棟方志功は、祖母の信心深さの影響を受けて、自然と祈りの心を芽生えさせていきました。幼い頃に囲炉裏のすすが目に入ってしまい、極度の近眼になってしまったそうです。 幼い頃から絵が得意だったものの、教科書通りに描かないと評価されなかった時代のため、いつも成績は悪かったそうです。棟方志功は、大人が美しく描く自然の絵を「なぜ大人は嘘を描くのか」と不思議に思ったり、転んだ拍子に間近に見たオモダカの花に見とれて「この美を表現する人になりたい」と思ったりする子どもでした。小学生にして美に目覚めていたと言えるでしょう。

1-2. 初めての挫折

17歳の頃、毎朝遠く離れた公園まで走って向かい写生するのが棟方志功の日課でした。変わった風貌で現れ、絵を描き終えると合掌する異様な光景が青森の名物になっていたそうです。この合掌は、生涯変わることなく続けていたと言われています。ゴッホの「ひまわり」に感動し、ゴッホを目指して油絵に打ち込んだ棟方志功は21歳で上京しました。ところが学歴もなく師匠もおらず、美術団体にも属していない棟方志功は油絵を出品するものの落選が続き、初の挫折を味わいます。

1-3. 版画への開眼

上京から5年目、第9回帝展に油絵「雑園」で見事入選を果たすものの、西洋から入ってきた油絵で西洋人より上を目指せないのではないかという迷いから、日本で生まれた木版画に興味を持ち始めます。平塚運一に師事して版画の道に進むと、第6回春陽展に出品した版画7点中3点が入選し、大いに自信をつけました。翌年も、第7回国画会展に出品した版画4点全てが海外の美術館に買い上げられ、「世界のムナカタ」としての一歩となったのです。

1-4. 民芸との出会い

1936年、第11回国画会展に出品した版画「瓔珞譜大和し美し版画巻」は日本民藝館に買い取られ、河井寛次郎や濱田庄司、柳宗悦ら「民藝運動」の指導者との交流が始まりました。民藝運動の心を学び、背後に仏教の思想を感じた棟方志功は、「観音経版画巻」「釈迦十大弟子」などの傑作を生み出しました。

1-5. 海外での評価

日中戦争・太平洋戦争により疎開しても作品作りに没頭していたものの、戦後は版木を手に入れるのも難しかったと言います。帰京を果たすと、1年間に何と300枚以上の版画を作ったと言われています。それらの版画はまず海外で高い評価を受け、さまざまな賞を受賞しました。海外での受賞から10年後、日本でもようやく1965年に朝日賞を受賞します。

2. 棟方志功の作風とは?

祖母の影響で信心深かった棟方志功は、民藝運動の背景にある仏教の教えや、疎開先の富山で触れた浄土真宗に大きく影響されました。そのため仏や菩薩をテーマにした作品が多く、高く評価もされています。平面的な独自の構図を確立させ、刷りは始め黒一色だったものの、版紙の裏から色を入れる「裏彩色」を用いるようになりました。「よく切れない刃物の方が、気持ちがこもる」と、小学生用の彫刻刀や叩きノミなどで作品を作ったそうで、南方志功の作品からは素朴さや温かみ、優しさを感じられることでしょう。

3. 棟方志功の代表作とは?

ここからは、棟方志功の代表作を見ていきましょう。

3-1. 「二菩薩釈迦十大弟子」

サンパウロビエンナーレ国際美術展やヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展で受賞を果たした代表作です。構想に1年半掛けた後、縦に1mもある版木12枚を1週間ほどで彫り上げたと言われています。

3-2. 「女人観世音板画巻」

スイス・ルガノ版画展にて最優秀賞を受賞した、黒い面で女体を表現した作品です。「世界のムナカタ」と称されるきっかけになった代表作です。

3-3. 「大世界の柵」

幅約13m・高さ約1.75mと、世界最大級の大作です。倉敷国際ホテルの開業時に依頼されたもので、現在もロビーに飾られています。ピカソの「ゲルニカ」を見た感動がモチーフになっていると聞くと、納得の迫力でしょう。

4. まとめ

棟方志功の版画は国内外で高く評価されていて、とくに菩薩像や仏様をモチーフにしたものが人気を集めています。また、ふっくらとした優しい顔立ちが特徴の美人図も骨董市場で人気があり、高値で取引されているのも納得でしょう。 「アート飛田」では、近代巨匠・西洋美術・有名作家の工芸作品や絵画、茶道具や古美術などをお取り扱いしております。豊富な経験と実績のある鑑定士が無料で鑑定し、高価買受させていただいております。棟方志功作品の買取りをお考えの方も、まずはお気軽にお問合せください。