日本で有名な絵画とは？それぞれの作品の見どころと作者情報をご紹介！

葛飾北斎の作品は、世界的にも有名なものばかりですが、なかでも有名なのが「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」です。富士山をテーマにした一連の浮世絵シリーズの中の1枚で、タイトルの「神奈川沖浪裏」というのは、神奈川の波の下という意味を持ちます。

このシーンは、漁師が神奈川で荒波に遭遇したシーンを切り取ったもので、そのダイナミックな構図が印象的な作品です。当時はまだ鎖国体制であったものの、葛飾北斎は西洋画の特徴でもある奥行きを意識した構図を採用しています。さらに、波の濃い青色はペルシアンブルーというヨーロッパで使われている人工的な色素です。この青色があまりにも印象的であることから「北斎ブルー」とも呼ばれています。

竹内栖鳳の「班猫」は、1924年に制作された作品です。一見、猫を描いた普通の絵画に見えますが、よく観察してみるとその猫が独特の姿をしていることに気づきます。背中は一面を見せているのにもかかわらず、首をぐっと後ろに向けている様子は、なんとも言えないバランスです。

また、猫が下から覗き込むようにこちらを見ている構図も、鑑賞者に訴えかけるような効果を引き出しています。さらに、体毛の一本一本が驚くほど繊細に描かれており、そのふわふわとした質感も伝わってくる名作です。

背景についても、消してしっかりと書き込まれているわけではありませんが、猫を引き立てるようなトーンが採用されていることから全体の一体感を生み出しています。このように作者の細やかな工夫が詰め込まれた味わい深い作品となっています。

東山魁夷は、昭和から平成にかけて活躍した日本画の作家です。この代表作「緑響く」は、テレビCM で利用されたことから有名になりました。幻想的な森の湖畔を真っ白な馬が歩いている様子を描いた作品です。青々とした緑色の森の木々たちは、手前にある湖に美しく映し出されており、全体が緑色の木々で埋め尽くされている中に、白い馬が引き立つような構図になっています。これは、長野県にある御射鹿池の風景をテーマにした作品といわれています。まさに、幻想的な美しい世界観が感じられる作品です。

横山大観は、日本美術院を舞台として明治から戦後まで長く活躍した日本画家です。東京美術学校の第1期生でもあり、筆線を排除した新しい日本画を模索しました。また、弧を描く線の内側をぼかす「片ぼかし」 という技術も生み出しています。

数多くの名作を残した大観ですが、なかでももっとも有名なのが「生々流転」です。全長は40m超えと日本でもっとも長い画巻とされていて、そのスケールの大きさが特徴です。テーマは水で、水滴が大河となりさらに海へ、そして最後には天に戻っていく様子を水墨で表現しました。まさに近代の日本美術を象徴する画家が残した名作です。

日本の現代アートシーンを代表するのが奈良美智です。青森県出身の現代美術家で、日本だけでなく アメリカでも高い評価を受けています。挑戦的な眼差しをこちらに向ける子どもの絵を目にしたことがある方も多いでしょう。奈良美智の作品の特徴は、無邪気さや無垢さと、挑戦的な悪意の見え隠れする部分が共存している点にあります。

代表でもある「Knife Behind Back」は2000年に制作されました。タイトルには、ナイフを持っていることが記述されていますが、実際にキャンバスの上で少女はナイフを手にしていません。その様子が一層ナイフの存在を鑑賞者に想像させているのがポイントです。背景はパステルカラーで、少女の姿をより一層立体的に見せる工夫が行われています。2019年に行われたオークションでは2500万ドルという高額で落札され、作品に高い価値があることが認められました。