2024年03月03日

工芸家になるには?工芸家になる方法と工芸家に向いている人の特徴を紹介

アート飛田

現在の日本全国には1000種類以上もの工芸品が存在しているとも言われています。その工芸品を製作する工芸家の一般的な印象は、まさに「職人」という言葉が似合う、朴訥とした人間が工房で、黙々と働いている姿ではないでしょうか。世間とは一線を引いて工芸品の製作技術を深めているような職人の姿に憧れを頂く方もいるでしょう。今回は、そのような工芸家になる方法などについて紹介します。

1. 工芸家とは

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工芸家は、工芸品を製作する職人全般のことを言います。現在の日本には陶芸品や漆器など、さまざまな工芸品が存在しており、工芸品の数だけ工芸家が存在しているのです。工芸品は、本来は食器や織物など、日用品としての機能を有するものです。しかし、工芸品の中には芸術品として取り扱われるものも多いことから、芸術家として活動している工芸家もいます。

1-1. 伝統工芸士

工芸品の多くは、「伝統工芸品」と「伝統的工芸品」の2つにわけられます。伝統工芸品は、古くから地域で受け継がれてきた工芸品全般のことを指し、伝統的公言品は「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて経済産業大臣から指定された工芸品のことを指します。 そして、伝統的工芸品を製作する伝統工芸士は、試験に合格しなければ名乗ることを許されません。伝統工芸士の資格は国が定める規定以外にも、地域独自の資格も存在しています。試験自体の合格率は約65%と簡単ではない上に、試験の受験資格自体が長年の下積みを経験してきた職人に限るため、伝統工芸士に認められることは、容易ではありません。

2. 工芸家になるには

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工芸家になるには、特別な資格などは必要ありません。極端に言うと、工芸品を製作していれば誰でも工芸家と名乗ることは可能です。しかし、なにも経験がなく工芸品を製作する知識や技術を持ち合わせている方も少ないでしょう。また、伝統工芸品の製作をしたい場合や伝統工芸士を目指したい場合は、独学だけで工芸家を名乗ることはできません。実力ある工芸家になるための方法について紹介しましょう。

2-1. 工房などに弟子入りする

工芸品の製作方法を学ぶには、工房などに弟子入りできれば確実な知識と技術の習得が可能でしょう。そうしたことから、自身が目指したい工芸品の製作を行っている工房などがあれば、直接訪ねて弟子入りを懇願する方法が一番だと言えます。しかしながら、弟子入りさせてくれるかは工房によるため、必ずしも自身が学びたい工房に入れるかはわかりません。希望の工房に弟子入りできるかは、情熱と運次第である場合もあるでしょう。

2-2. 求人に応募する

最近は、伝統工芸品の後継者不足が問題になっています。地域によっては受け継がれてきた伝統工芸品の製作技術を守るために、行政も協力して求人募集を行っているところもあります。そうしたことから、そのような求人募集に申し込んで工芸家になる方法もあるのです。応募すれば必ず採用されるわけではありませんが、求人募集を行っていない工房への弟子入りなどに比べると採用される可能性は高い場合もあるでしょう。

2-3. 独学で工房を開く

伝統工芸士でない限り、工芸家に特別な資格は必要ないため、工芸品を製作する最低限の知識と技術を持っていれば工芸家を名乗れます。そうしたことから、自身で工房を持つことで工芸家になることが可能です。 ただし、独学で製作する工芸品は、元々世間に認知されている伝統工芸品と比べると販売することが困難な場合もあります。自身で工房を開くことは、製作した工芸品販売などの営業力も問われることを覚悟する必要があるでしょう。

3. 工芸家に向いている人

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工芸家は、ときに厳しさもある職人の世界です。そうしたことから、軽い気持ちで工芸家を目指すと辛い現実が待っていることもあるため、誰にでもおすすめできる職業とは言えません。工芸家を目指すことに向いている方について解説いきましょう。

3-1. 没頭できる魅了された工芸品がある

工芸家は、芸術的な価値が認められない限りは、お世辞にも経済的に裕福になれるとは言えない職業です。そのため、工芸品製作の原動力になるのは、自身が製作する工芸品にどれだけ情熱を注げているかに限ります。 また、職人としての下積みなどの厳しい時期を乗り越える力になるのも、好きな工芸品を製作したいという情熱でしょう。自分の全てをかけて没頭できるような工芸品と出会えていることは、工芸家として活動する上で必要不可欠な要素とも言えます。

3-2. 芸術的感性を持っている

工芸品の中には、芸術的な造形や装飾を求められるものが多くあります。また、多くの工芸品の中から自身の製作する工芸品を大衆に認めてもらうには人々を、感動させるような美しさを表現できることも、ときには必要となるでしょう。 伝統工芸品の知識と技術を受け継ぐことは、多くの人々の記憶に残る作品を作り続けられる感性と情熱も求められるのです。そのため、製作技術に限らず芸術的な表現力も突き詰められることが工芸家として必要な素質のひとつと言えます。

4. まとめ

工芸家になる方法はさまざまな方法があり、工芸家としての在り方もさまざまです。伝統工芸士などの工芸家を目指すこともひとつの道であり、自身の製作したいものを気の向くままに製作するのも工芸家としてひとつの道であるとも言えます。時代と共に変化する工芸の世界で、どのような工芸家を目指していくかを模索することも工芸の奥深さと言えるでしょう。 「アート飛田」では、時代とともに移り変わってきた工芸品の数々を取り揃えて皆さまのお越しをお待ちしております。確かな知識で古美術品から近代美術品まで、幅広く鑑定を行っていますので、是非ご相談ください。