2024年04月03日

日本にはさまざまな工芸作家がいる!有名な工芸作家をご紹介

日本には全国各地に、その地域を代表する工芸品があります。なかには世界が認める素晴らしい出来栄えの木工品や織物や陶芸品があるのです。それらの工芸品は芸術性が高く、工芸品というよりも芸術品といえるものも多くあります。そのような芸術性の高い、優れた作品を作り出すのが工芸作家です。今回はさまざまな工芸品を生み出す有名な工芸作家について紹介します。

1. 工芸作家とは

工芸作家を紹介する前に工芸品について触れましょう。工芸品は日常生活において使用される道具で、食器・家具・箪笥・玩具・着物・衣類などのなかで、手間や時間を掛けて製作された製品が工芸品に該当します。 工芸作家は工芸品の素材となるさまざまなものを材料として、実用性のある伝統的な生産物に、実用性のみならず独自の芸術性を持たせた工芸品を生み出すのです。また、工芸作家は個人で活動し、個人の名前を全面に出して独自の工芸品を作ります。さらに、自身の名で個展を開いたり、自分の工芸品を販売するための店舗を構えたりして、それらを生業とするのが「工芸作家」です。

1-1. 工芸作家に資格はない

工芸作家や工芸家と名乗れる特別な資格はなく、工芸作家になるための試験もありません。また、工芸作家が製作する工芸品は広範囲にわたります。陶芸作家・木工工芸作家・ガラス工芸作家・漆工芸作家・革工芸作家・竹工芸作家・紙工芸作家・鉄工芸作家・金属工芸作家・染色工芸作家・染織工芸作家など、ほぼすべての工芸品について工芸作家がいるのです。

2. 有名な工芸作家

工芸品の範囲が広いだけに工芸作家は数多く存在し、有名な工芸作家も多数です。この章では日本の工芸品の代表といえる、陶芸・金属工芸・漆工芸について、人気の工芸作家を紹介します。

2-1. 陶芸

日本各地に歴史ある有名な窯元があります。有名な窯元には、名前を引き継ぐ優れた工芸作家がいるほどです。そのような中で、歴史を誇る窯元にあたる、石川県の九谷焼と佐賀県の有田焼の有名な工芸作家を取り上げます。 有田焼の今右衛門窯(いまえもんがま)は、歴史と伝統を誇る窯元で「色鍋島」の伝統技術を継承してきた名窯です。秘法の赤絵の調合技術を所有し、国の重要無形文化財保持団体として認定されています。当代である十四代・今泉今右衛門さんは、陶芸分野史上最年少で国の重要無形文化財に認定されたほどの名工であり、優れた工芸作家です。 久谷焼の新進気鋭の工芸作家で陶芸作家が牟田陽日(むた よか)さんは、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジファインアート科を2008年に卒業し、2012年に石川県九谷焼技術研修所を卒業しています。女性の作家さんで、陶磁器にも色絵の技法を取り入れ、現代的でインパクトがある動物や植物などが繊細に描かれています。国の内外を問わず個展を開催して、数々の賞を受賞しているのです。

2-2. 金属工芸

日本の金属工芸で世界的に知られているのが、岩手県の南部鉄器です。南部鉄器は岩手県の盛岡市や奥州市を中心に生産されている鋳物で、南部鉄器で沸かしたお湯には鉄分が含まれ、口当たりがまろやかになり、おいしく飲みやすくなるのが特徴です。最近の南部鉄器は、王道のシックな黒色のほか、ピンクやグリーンといったカラフルな色合いの鉄瓶も販売されています。 南部鉄器の有名な作者は、南部鉄器伝統工芸士の佐藤勝久氏です。これまで、30以上の賞を受賞しています。2002年には厚生労働大臣より、きわめて卓越した技術と功績が認められ「現代の名工」として表彰されました。

2-3. 漆工芸

漆工芸といえば、石川県の輪島塗です。国指定の伝統工芸品であり、重要無形文化財にも指定されています。仕上げまでに75回から124回に及ぶ手作業の工程を経て、繊細かつ丁寧に作られる漆工芸品です。軽く美しい仕上がりながら頑丈な点も魅力になっています。 輪島塗の有名な工芸作家は、1932年生まれの中村宗悦(なかむらそうえつ)氏です。輪島塗の「髹漆(きゅうしつ)」という技法を学び、その技法一筋で作品を製作しています。髹漆はへらや刷毛を使って漆を素地に塗る技術で、塗り跡を残さない高い技術力が必要とされている伝統的な技法です。同氏は全国漆器展で林野庁長官賞・知事賞・精漆組合賞を受賞しています。

3. 工芸作家と職人の違い

工芸品の世界には多くの職人さんがいます。職人さんも工芸品を製作します。では、職人さんと工芸作家はどう違うのか、気になるところです。あくまで一般論ですが、窯業・陶芸の世界でいえば、窯元やメーカーの企画品を作り続けるのが職人さんです。一方、自身の名で自身のクリエイティビティに基づいて作品を作るのが工芸作家で、陶芸では陶芸作家になります。工芸作家は、自分が作りたい民芸品をイメージして設計し、製作します。その作品を直接消費者に問い、気に入られれば販売につながるのです。工芸作家は自身の「作品」を作る人で、職人は需要に基づいて、窯元やメーカーが求める商品を作る人ともいえます。

4. まとめ

日本の工芸品は優れた工芸作家が工芸品の伝統を守りつつ、新しい技法や製法を取り入れ、伝統を守りつつ、時代に合った作品を生み出して護っています。常に進化を続ける工芸作家の民芸品を大切にしましょう。 「アート飛田」は、兵庫県西脇市上野にある骨董店です。創業から88年続いております。近代美術工芸・絵画・茶道具・古美術品全般の販売や、買取を承っており、新進気鋭の工芸作家の作品も取りそろえています。当店は長年のキャリアで、作家保証はもちろん、無キズ保証を徹底し皆様からご愛顧を賜っております。ここ10年、インターネットも駆使しご対応いたしております。古美術品についてどのようなことでも当店までご相談ください。