2024年04月04日

美術品の偽物とは?複製との違いや見分け方のポイントも解説!

美術品の中には、残念ながら数多くの偽物も存在します。ブランドものの偽物とは違い、それらが必ずしも悪意を持って制作されたものとは限りません。しかし、購入や売却を行う際にはその価値を大きく左右するものであるため、しっかりと偽物と本物を見分けることも大切です。そこで今回は、美術品における偽物とはどういった取り扱いをされているのか、またその見分け方について詳しく解説します。

1. 美術品の偽物とは?

ここでは、美術品の偽物とは一体どういったものを指すのか、その定義や複製との違いについて解説します。

1-1. 贋作

贋作というのは、美術品や骨董品の偽物を指す言葉です。一般的に、ブランドや時計などの偽物を指す場合に利用されることはありません。古美術商は、実際に画家から作品を直接購入することもあれば、オークションを利用したり、個人の顧客から買い取ったりして仕入れることもあります。このように、二次市場から仕入れる場合には贋作を見極めるのが1つの大きなポイントとなります。 

1-2. 贋作と複製の違い

美術の世界で贋作という定義をややこしくしているのが複製の存在です。贋作も複製も、どちらもオリジナルの美術品を真似して作られているという点は同じです。しかし、贋作は作者名を偽って流通または販売される作品のことを指します。
一方で、複製は作者や著作権者の合意のもとで複製されているものです。また、レプリカについても同様で、オリジナルの作者や著作権者の合意のもとで作られているものを指します。このように、許可を得ていることを前提として作られた複製やレプリカは偽物ではありません。

1-3. 悪意なく制作された偽物

実は、全ての偽物が悪意を持って作られたものばかりではありません。なぜなら美術を学ぶ上では、本物の作品を模倣しながら若手が技術を習得するという伝統もあるからです。
たとえば、江戸時代に活躍していた狩野派という絵師集団は、粉本という学習法を取り入れていました。粉本とは、作品を模写して自身の技量を高めるという方法です。そのため、高い技術を持った生徒が模写した本物そっくりの作品が存在し、その模写に何者かが悪意を持って落款を入れ販売したものも多いのが現状です。そういった背景もあり、残念ながら狩野派の作品は、その大部分が贋作であるともいわれています。このように、悪意なく制作されたものが、贋作として本物と見分けがつきにくくなっていることも、古美術の世界ではよく起こりうる現象です。

1-4. 偽物の売買に関する違法性

美術品の偽物の売買は違法性があるのではと考える方が多いのですが、実は売り手も買い手もどちらも 偽物であることを承諾した上で取引をするのは違法ではありません。あくまでも、偽物を本物として売却することが違法となります。とはいえ、安易な偽物の売買は後にトラブルを招いてしまう可能性もあります。レプリカや複製画であれば安心して売買できますが、安易な偽物の売買は避けておいた方がよいでしょう。

2. 美術品の偽物の見分け方

ここでは、美術品の偽物を見分ける方法について解説します。

2-1. 所定鑑定期間の鑑定書を参考にする

全ての美術作品に鑑定書がつくわけではありませんが、明治以降の著名な作品は各作品専門の鑑定人や所定鑑定機関によって鑑定書が発行されることもあります。その多くは作者の子孫や、作者の作品を収録したカタログを制作したことのある人などが鑑定を行うことがほとんどです。このように、比較的新しいものであればこれらの鑑定書を参考に、本物と偽物を見極めるのがよいでしょう。

2-2. 鑑定書や箱書きも注意深く観察する

上記で解説したような所定鑑定機関の鑑定書であれば信頼度が高いのですが、比較的古い作品は 鑑定書も偽物のものがついている可能性もあります。一部にはお金目的で、贋作を制作する業者と口裏を合わせ、鑑定書を書いた上で販売している悪徳鑑定士も存在します。鑑定書があるからといって全てを鵜呑みにするわけではなく、記入されている番号や内容、発行元が信頼できるものかどうかをきちんと確認するのがおすすめです。
また、美術品を収める箱に直接鑑定書が書かれている「箱書き」も注意深く観察する必要があります。なかには、本物の箱書きの中に偽物の美術品を入れて販売している業者もあるからです。鑑定書や箱書きが存在するからといって安易に信用するのではなく、しっかりと注意深く総合的に判断することが大切です。

3. まとめ

今回は、美術品における偽物の定義やその見分け方をご紹介しました。偽物といっても全てが悪意を持って作られたものではありませんが、売買を行う際には細心の注意が必要です。安心して取引を行うためには、信頼のおける古美術商のもとで売買を行うのがおすすめです。
兵庫県にあります「アート飛田」では、88年間に渡り美術品の売買を行ってまいりました。長年の歴史で培った確かな鑑定眼は、お客様からも高い信頼を得ております。自宅にある古美術品が偽物か本物か確かめてみたい方や、売却を考えているという方はぜひお気軽にお問い合わせください。